他人へのリスクをマネーに替える
先日借りてきた『収益を作る戦略的リスクマネジメント−米国優良企業の成功事例−』
MAKING ENTERPRISE RISK MANAGEMENT PAY OFF:
HOW LEADING COMPANIES IMPLEMENT RISK MANAGEMENT
Thomas L. Barton, William G. Shenkir and Paul L. Walker
Published by Pearson Education, Inc., publishing as Financial Times Prentice Hall
©2002 Financial Exectives Research Foundation, Inc.
を10分ほど読んでみたのでメモを書いておく。
まず、日本語版は経済産業省の『事業リスク評価・管理人材育成システム開発』プロジェクトを委託研究した◇菱総研によって翻訳されたものである。
(あのハブの強度ほかが問題になっているの企業も同じグループだとは思うが、リスクに対してマネージメントが有効に行われていたのかなはだ疑問だ)
将来のキャッシュフローを狙うスキーム、企業全体のリスクマネージメントプロセスを有効にしてゆくためのリスク哲学、組織のあり方、リスク文化の構築、リスクの計量化、など、を、事例をもとに紹介している。
取り上げられた企業は、チェースマンハッタン、デュポン、マイク□ソフト、ユナイテッドグレイングロワーズ、ユノカルの5社であった。
もいらは日ごろ迷惑を受けているマイク□ソフトについての章を読んだ。
本著は、ファイナンス面でのリスクについての記述が主になされていて、テクノロジーという面には言及していない。
MS社では、財務リスクと事業リスクについてマネージメント部門があり、ビジネスユニットのマネージャーと連携してリスク管理に当たっているということである。
彼らにとってリスクとは製品のクオリティーに関することではなく、収益が得られないリスクであるようだ。
マイク□ソフトの社員はストックオプションで富を蓄えたらさっさと退社して悠々自適に暮らすと聞いたことがある。
すなわち、製品に対して責任を持つ必要はなく、売り上げ、収益up(その対価としての株価の上昇)のみが彼らの目標なのである。
重大な●●のある商品を売ってそのパッチも売る。
それの繰り返し。
防弾チョッキを着て安全装置のない銃を売り歩く。
あるいは戦車に乗って操作説明書のない迫撃砲を売り歩く。
買う側は、操作説明をしてほしかったら、2,3人犠牲者が出てもいいとの契約のもと、有償でデモをみさされる
村にはほかに武器商人がいないのでいやいや悪魔の商人から武器を買う。
彼らにとって最大のリスクはバージョンアップしてもらえないリスクであろうが、毎日毎日脅威、修正モジュールを提示していたら、いやでも次のバージョンでその苦労がなくなるのではとの幻想から、新しいバージョンを買ってしまう顧客の心理をうまく計算していると思う。
だまされるかだまされないかは個人の自由だが、もううんざりしている人の数が半端ではないことだけは確かだと思う。
プロダクトを売る製造業の時代は20世紀で終わって、21世紀はサービスの時代だといわれているが、プロダクトが完全なものとして商品化された上で提供されるサービスであってほしい。*1
*1:本文とNIKKEI QUICK NEWS社 ネット編集部、露口一郎記者の写真とはなんら関係ありません